○ 続その1・「せん妄」について
(認知症ケアの実際2各論)
・経 過
発症は急激で、数時間から長くても数日の経過である。しかも症状は日によって大きく異なり(日差変動)、また一日のうちでも変動する(日内変動)、夜間に精神運動興奮が見られたかと思えば、翌日は、精神運動減退状態で、ぼんやりしていたりする。状態の個人差も大きく、精神運動興奮(運動過剰型のせん妄)を呈する場合と、精神運動の減退が目立つ場合(活動低下型のせん妄)とがある。
※ 精神運動障害=精神運動興奮と減退がある。不穏や不安のために会話量や行動量が増加する落ち着きのない状態を精神運動興奮と呼び、無気力や意欲の低下によって活動性が低下し、不活発になった状態を精神運動性の減退とよぶ。せん妄については、興奮した状態と減退した状態が不規則に現れ、変化を予測できない。
・ せん妄の原因
せん妄の原因はさまざまである。脳器質性疾患や身体疾患、薬物、アルコールなどが原因となる。脳器質性疾患としては、脳出血や脳梗塞、脳腫瘍、脳炎、心疾患に伴う脳循環障害などが原因となる。血管性認知症やアルツハイマー型認知症などの認知症疾患がある場合には、さらにせん妄を起こしやすくなる。身体疾患としては、肺炎などの感染症、糖尿病などの代謝疾患、内分泌疾患(ホルモンの異常をきたす疾患)、血液疾患、ビタミン欠乏症、手術などが原因となる。また、アルコールだけでなく、疾患の治療薬もせん妄の原因となる。総合感冒薬の服用がきっかけとなってせん妄を起こすこともある。旧世代のうつ病の治療薬(三環系抗うつ薬の一部のもの)、抗パーキンソン薬、睡眠導入薬なども原因となる。
・ せん妄の予防
せん妄を予防するためには、前項で述べた原因となりえるさまざまな要因を日ごろから避けることが大切である。身体の不調が生じ、何らかの身体疾患が疑われる場合には、早めの対応が必要である。またすでに治療が行っている疾患が悪化している可能性にも注意を払う必要がある。特に服用している治療薬が変更になった場合については、副作用にも注意した観察が必要である。また、生活環境の変化が引き金になることがある。不安や心的なストレスがかかるような場合も、状態の変化に注意が必要である。せん妄を引き起こさないために、本人を取り巻く環境の変化を、日ごろから出来る限り抑える工夫をすべきである。 (次号へ続く)
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